LOG IN

言葉にしないと意味がないのに。

by おしゃき

あっという間に春が終わって、気がつけば夏がすぐそこまで来ている。
私の中で6月はまだ春と夏の狭間なのだが、それにしても今年は暑い。
夏といえば私の大好きな季節だ。
暑くて嫌だという人がいるかもしれないけれども、私は自分が夏生まれのため夏は好きだ。「暑くても平気そうだね」と言われると「夏生まれだからね」とドヤ顔してしまうのはどうか許してほしい。


素敵な彼女の話をしよう

私の友人に、「いい子」がいる。
その子と私は小学校からの付き合いで、大学からは別々だが、「元気かな?」と思えばお互いLINEで伝えるし、私が地元へ帰るたびにその子と遊ぶくらいには仲がいい。その子はLINE以外のSNSを使用していないため、普段彼女が何をしているかはわからない。たまに共通の友人がtwitterに上げた写真に写る、控えめに笑う彼女を見つけるたびに胸がきゅーっとなったりする。

そんな私の友人は、本当に「いい子」だ。

何度も言うように、彼女は「いい子」だ。詳しく言うならば性格がものすごく「いい子」だ。滅多なことでは怒らないし、話を聞くのが上手い、人の悪口は言わないし、人から頼まれたらそれを全力で行う。自分よりも他人、友達のことを大切にして、本当に優しい「いい子」、それが私の友人だ。
私と彼女は小3から仲良くなったのでもう15年近くの付き合いだが1度しか彼女が怒ったことを見たことがない、それくらい彼女は「いい子」だ。


どうでも「いい子」

そんな彼女と久しぶりに話したのだが、私に衝撃的なことを言ってきた。

友人「いい人ってどうでもいい人なんだよね」

私は「え?」とその時聞き返したのだが、彼女は怒っているわけでも悲しんでいるわけでもなかった。ただただいつも通り、その優しい笑顔を浮かべていた。

私は、ここまで彼女を「いい子」と言ってきたが「どうでもいい子」と考えたことはない。けれども、少しだけ「あ、気づいていたんだ」と思うことはあった。

彼女は確かに学生時代「いい子」だが「都合のいい子」となっていることが多かった。彼女に頼めば必ず了承してくれる、というのは皆が知っていることで、彼女はそのためによく何かを押し付けられることが多かった。委員会、先生の手伝い、いろんなことを彼女に頼む人が多かった。そしてそれを彼女もこなそうとしていた。

けれども、彼女は要領があまり良くない(と私は評価していた)ためそれを全てこなすことが一人ではできなかった。彼女を助ける子はいたけれども、そういうのは小学校から彼女の性格・器量を知っている友達か、彼女に何かを押し付けることのない、優しい(そして少し地味な)人たちだった。

クラスのヒエラルキーで常に上位にいるキラキラした子たちは、彼女にいろいろなことを押し付けて、さらにできない彼女をイジって(と本人たちは思っていたのだと思う)明るい笑いに変えていたのだと思う。

中学時代、私は彼女とクラスが違って、廊下ですれ違ったり、小学校で仲の良かったメンバーと遊ぶときにしっかり話すくらいで、彼女がどのような状況にいるのか知らなかった。

なんとなく噂で、彼女へのイジリ(と弄っている人たち本人はそ思っていたはず)が度が過ぎているらしい、ということを聞いたくらいだ。確か中3の時で、彼女のクラスのメンバーを思い浮かべて「そんな感じだよね」と共通の友人と話した記憶がある。

本当は何か一言、困っているんだったら助けるよなんて声を掛けるべきだったのかもしれない。だって彼女は滅多なことで相談などしない、いつも聞き役なのだ。そのことを後悔したのは彼女にテスト勉強がわからないから教えて欲しい、と言われた時だった。

彼女が泣いた日

スキーという共通点がある、私、彼女、もう一人の友人で勉強をしていた。私ももう一人の友人も、どちらかというとよく喋り、いつも通り彼女は聞き役だった。テスト勉強なんて言いながらも、ずっとおしゃべりしていて本当に何も考えずお互いのクラスの話になった。

「〇〇(彼女のあだ名)、クラスでは誰と仲いいの?」友人がなんとなく聞いたその言葉に彼女はいきなり泣き出したのだ。

小学校から1回も泣いたことがない、怒ったことも、というかにこやかな笑顔以外見せてこなかった彼女がポロポロと泣き出した時私は何を考えたのだろう。それがよくわからないくらい、ただただ唖然とした。

彼女はただ、辛いと言った。

すごく明るくていい子たちと仲がいいこと、
自分のポジションがいじられキャラであること、
突然そのイジりがエスカレートしていじめじゃないかと思うことがあるということ、
クラスメイトたちも笑って見ているだけだということ、
本当はそこまでいじられたくないこと、

色んなことを話してくれて、そしてもう一度「辛い」と言った。

私たちは本当に衝撃的で、なんとなく私ももう一人の友人も彼女をそこまでではないけれどもイジってしまっていたことが無意識にあったし、なんて声をかければいいか分からなかった。

私も彼女もどちらかというと性格がきつかったため、「やめてって言えば?」なんて言いそうになったが、そんなことを言えるタイプじゃない。というかそんなことを言えるのならばそこにイジリ(という名のいじめ)は存在しない。


私はわがままで、自分が一番で、だからいうけれども

とりあえず彼女を慰めたんだと思う。
「辛かったね」「気づいてあげられなくてごめんね」「私たちは〇〇の味方だからね」
月並みの言葉を並べていただけだが、本気で彼女が泣き止めばいいと思った。
初めての涙で、戸惑いしかなくて、ただただ彼女の笑顔が見たいだけだった。

言葉通り「泣き止んだ」だけの彼女に、「私たちができることは全部やるね」と言ったもう一人の友人を私はぼーっと眺めていたのを覚えている。

優しい彼女と、正義感がただただ強い友人、そして私は我関せずというか一歩引いたところで見ているという3人だった。(だからこそバランスが良くて、心地よかったのだと思う。)

見ていて何かもどかしかった。原因、というと彼女が悪いと聞こえてしまうかもしれない。だけれども一つの要因が彼女にもある、ということを私は彼女に伝えてしまった。

「私は〇〇と比べると、かなりわがままで、自分が一番じゃないと嫌で、性格もきついから、だからいうけれども、なんで友達なのに我慢するの?嫌なことを言えないの?言わないから、そういういじりがエスカレートするんじゃない?」

中学生だったから、言葉が下手だった。
今でもこの時の2人の顔は忘れられない。
彼女は悲しそうに笑い、もう一人の友人はまぁ、私にキレた(笑)
さっきまで「悲しかったね」「辛かったね」「味方だよ」と言い合っていた仲良し3人組じゃなくて完全に「は?お前何言ってるの?」という様子だった。

あーやっちゃったなぁって思っても、なんとなく私がずっと感じていた彼女への違和感と少しの嫌悪感を全て出してしまった。

彼女は本当に我慢強くて、というかかなりの強がりだった。最初から自分が置かれている状況を変えようとしないで、みんなにいじられて、軽いいじりの時はそれでいて愛されていた。それが少しでも悪意あるいじりになると、愛というよりは暇つぶし感覚で、それでも彼女は嫌と言わなかった。

私はそれが気に食わなくて、唯一彼女をおかしいと思う瞬間だった。

言えばいいのに、なんて何十回何百回も思っていた。
周りがどんなけ気を使ったって、本人がハッキリ嫌だと言わないと意味がないと思っていた。

自分の感情も、考えも、希望も、言わなきゃ意味がないとそう思っていたから。
結局いじられて愛されて、その状況に甘んじているんじゃないかって。

そう吐き出した私に彼女は何度も「ごめんね」といい、そんな彼女に私も「ごめんね、」って言った。

結局彼女へのいじり(私たちはいじめと言っていた)は徐々にフェードアウトして(正義感の強い友人が彼女のクラスに殴り込んだり、少しだけ大人の力を借りたりした)クラス替えを機に全くなくなった。

仲良し3人組はそのままで、高校も同じで、大学は離れたけれどもそれでも集まったりした。

どうでもいい人、

そして冒頭に戻るけれども、彼女はまた同じような状況に陥っているらしい。
深くは書かないけれども、いじられ(いじめ)とは違うけれども「どうでもいい人」になってしまっているみたい。

美味しい焼き鳥を食べながら、「20歳超えてもさ、感情も言葉にしなきゃわからない?」なんて言っていた。

もうね、お互い大人だから言ってやったわけですよ。
「当たり前でしょ?だからどうでもいい人になっちゃうんだよ。嫌だったら泣き叫んでやればいいよ」

中学のあの時からからたくさん文句を言ってしまったけれども、あの彼女が一番辛かった時以来、彼女は「ありがとう」と言ってくれる。
悪いところを指摘されて(しかも勝手に)素直に「ありがとう」と言える彼女は変わらず素敵だ。
「言わないこと・言えないこと」は彼女の素敵なところの1つなんだけれども、大きな感情だけでも、心開いた相手にだけれど、言葉にしてくれればいいのになって思いました。


おしゃき
OTHER SNAPS